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エリート街道から失脚し再起を懸けるジャーナリスト・マーティンと
どこにでもいそうな主婦でありながら、50年間秘密を隠し続けてきたフィロミナの
交流を描きながら、フィロミナの息子アンソニーを探すという実話を基にした作品。
マーティンとフィロミナの交流は微笑ましく笑いを誘う場面もあるが、
実はかなり重い主題を持った作品なので、覚悟して鑑賞してほしい。
■ストーリー
1952年アイルランド、未婚のまま妊娠してしまった若き日のフィロミナは、親から見放され、
強制的に修道院に入れられてしまった。生まれてきた息子アンソニーには一日一時間しか会うことができない上、
修道院でただ働きさせられる毎日。そんなある日、アンソニーが養子に出されることに・・・。
予期していなかった展開にフィロミナは打ちひしがれるが、アンソニーの幸せを祈りつつ、その存在を隠しながら
50年間ひっそりと暮らしてきた。
手放した息子アンソニーの50回目の誕生日、フィロミナはついに娘ジェーンに兄の存在を打ち明ける。
突然の事実に戸惑いつつも、ジェーンは母とアンソニーを再会させてあげたいと考え、偶然出逢ったジャーナリストの
マーティンに協力を願い出る。最初は乗り気でなったマーティンだが、ジャーナリストとしての再起を懸け、
息子アンソニー探しを協力することに・・・。
■主観的レビュー
母子の再会&心温まる感動ストーリーを期待している人は観ない方がいい。
非情な現実の果てに何を想うか、人間の罪と神の罰とは・・・そんなことを考えさせられる作品だ。
以下、ネタバレ(白字なので選択してご覧下さい)
息子との再会を夢見て渡米したフィロミナ。
何もかもが初めての体験でウキウキはしゃいでいるときに、マーティンから息子の訃報を知らされる。
それだけでも辛い現実なのに、息子が少しでも自分のことを想ってくれていたのかを知るために、
生前の息子を知る人を訪ね歩くのだが、生みの母親ばかりか、出生地アイルランドの話すら
息子の口から出たことはなかったと知る。
そして、一縷の望みを懸けて、息子が最も愛した恋人の下を訪ねたフィロミナとマーティンは
息子の死以上に残酷な現実を知ることになる・・・
神は本当にそこまでの罰をフィロミナに科していたのか?
神の赦しはなかったのか・・・
鑑賞し終わった後は、とてつもない悲しみと憤りを覚えた。
無宗教である私にとって、カトリックの教えというのはなかなか理解しがたい。
それを享受し、怒りや憎しみを自分の中に押し留め、残酷な結末を作った張本人に対して
「あなたを赦す」と言ったフィロミナは、本当におおらかで強くて優しい人だと思う。
でも怒りを顕わにし、「私は赦さない」と言い放ったマーティンの方が人間味があって、
自分の心情、考え方に近かったので、違和感なく共感できた。
これがフィクションであれば、こんな残酷な結末も作り手側の演出と思って割り切れるのだが、
ノンフィクションであるからこそ、このやり場のない悲しみや憤りをどうすることもできず、
鑑賞後は涙が止まらなかった。
「ここでガツンと言ってほしい!」という場面がいくつか出てくるが、フィロミナは常に穏やかで優しい。
スカッとはならずもどかしいのだが、これがノンフィクションというものなのだなと感じた作品だった。
1952年アイルランド、未婚のまま妊娠してしまった若き日のフィロミナは、親から見放され、
強制的に修道院に入れられてしまった。生まれてきた息子アンソニーには一日一時間しか会うことができない上、
修道院でただ働きさせられる毎日。そんなある日、アンソニーが養子に出されることに・・・。
予期していなかった展開にフィロミナは打ちひしがれるが、アンソニーの幸せを祈りつつ、その存在を隠しながら
50年間ひっそりと暮らしてきた。
手放した息子アンソニーの50回目の誕生日、フィロミナはついに娘ジェーンに兄の存在を打ち明ける。
突然の事実に戸惑いつつも、ジェーンは母とアンソニーを再会させてあげたいと考え、偶然出逢ったジャーナリストの
マーティンに協力を願い出る。最初は乗り気でなったマーティンだが、ジャーナリストとしての再起を懸け、
息子アンソニー探しを協力することに・・・。
■主観的レビュー
母子の再会&心温まる感動ストーリーを期待している人は観ない方がいい。
非情な現実の果てに何を想うか、人間の罪と神の罰とは・・・そんなことを考えさせられる作品だ。
以下、ネタバレ(白字なので選択してご覧下さい)
息子との再会を夢見て渡米したフィロミナ。
何もかもが初めての体験でウキウキはしゃいでいるときに、マーティンから息子の訃報を知らされる。
それだけでも辛い現実なのに、息子が少しでも自分のことを想ってくれていたのかを知るために、
生前の息子を知る人を訪ね歩くのだが、生みの母親ばかりか、出生地アイルランドの話すら
息子の口から出たことはなかったと知る。
そして、一縷の望みを懸けて、息子が最も愛した恋人の下を訪ねたフィロミナとマーティンは
息子の死以上に残酷な現実を知ることになる・・・
神は本当にそこまでの罰をフィロミナに科していたのか?
神の赦しはなかったのか・・・
鑑賞し終わった後は、とてつもない悲しみと憤りを覚えた。
無宗教である私にとって、カトリックの教えというのはなかなか理解しがたい。
それを享受し、怒りや憎しみを自分の中に押し留め、残酷な結末を作った張本人に対して
「あなたを赦す」と言ったフィロミナは、本当におおらかで強くて優しい人だと思う。
でも怒りを顕わにし、「私は赦さない」と言い放ったマーティンの方が人間味があって、
自分の心情、考え方に近かったので、違和感なく共感できた。
これがフィクションであれば、こんな残酷な結末も作り手側の演出と思って割り切れるのだが、
ノンフィクションであるからこそ、このやり場のない悲しみや憤りをどうすることもできず、
鑑賞後は涙が止まらなかった。
「ここでガツンと言ってほしい!」という場面がいくつか出てくるが、フィロミナは常に穏やかで優しい。
スカッとはならずもどかしいのだが、これがノンフィクションというものなのだなと感じた作品だった。
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プロフィール
涼木ゆり
「すずあかり図書館」というサイトで
オリジナル漫画更新してます。
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